riturituのブログ

50代の日々の記録

今月読んだ本「ゴッホのあしあと」他、「海と毒薬」、「流浪の月」📚

今月は忙しかったり、疲れていたり、
いろいろ書き留めておきたいのにPCを開く気になれず
せめて今月最後の今日、読んだ本くらいは記録しておこうと思います。


原田マハさんの3冊。
どれも絵画に関するもの。

「〈あの絵〉のまえで」は短編集です。(表紙の絵はクリムト作)
それぞれの編で違う絵画がモチーフになっていますが、読むとどの絵も見たくなります。
その中でも特に、
香川県は直島にある地中美術館所蔵のモネの『睡蓮』は絶対に見に行きたい!と思いました。
絵を飾っているその空間に立つことが出来たら、多分この物語の主人公と同じに気持ちになれるかもしれない、そんな風に感じました。
直島はアートの島。草間彌生のかぼちゃのオブジェが気になっていて
以前小豆島に行った際、今度は直島に!と思っていた場所です。


「デトロイト美術館の奇跡」は実話を元にしているそうです。(表紙はセザンヌ作。奥さんの肖像画だそう)
この美術館にこんな危機があったのか、と思いながら、
素晴らしい絵画たちが世界中に散らばらず、今もデトロイトに存在していてくれていることに感動しました。


「ゴッホのあしあと」は小説ではなく、マハさんのゴッホ論を書いたものです。
ゴッホの最後は自殺なのか、他殺なのかという有名な議論がありますが
マハさんは自殺なのでは、と推測されているようです。
これを読んだ後、ゴッホについて書いた小説「たゆたえども沈まず」も読んでみたくなり
早速購入。これから読みます。


キリスト教信者として有名な遠藤周作さんの「海と毒薬」。

太平洋戦争中、捕虜となった米兵が日本の病院で人体実験として
使用される(手術だか実質的には殺される)ことを題材に
人として犯してはならない過ち(=罪)に対して
人は(信仰を持たない日本人を言っているのか?)後悔や懺悔の気持ちを持たないのか、
戦争という究極の状況では葛藤も生まれはしないのか、
そしてこの罪に罰は与えられないのか、
という大きな問いを投げかけられているようで
考えれば考えるほどに重くずしりとくる話しでした。


いつだったか本屋大賞に選ばれた凪良ゆうさんの「流浪の月」。

ロリコンで少女を誘拐した大学生の文(ふみ)と、
誘拐、洗脳され可哀そうな少女の更紗(さらさ)、
と世間は頑なに決めつける。
でも真実はそうじゃない。そうじゃない!
その想いが苦しいほど伝わってきて、でも決して理解されない現実に胸が締め付けられ、切なさでいっぱいになりました。


「わたしはもうあの家に帰らなくてもいいのだ。ここでずっと、お父さんに似た文と暮らせるのだ。よかった。本当によかった。文はわたしの命の恩人になった。」


「わたしは、あななたちから自由になりたい。中途半端な理解と優しさで、わたしをがんじがらめにする。あなたたちから自由になりたいのだ。」


「わたしと文の関係を表す適切な、世間が納得する名前はなにもない。(中略)わたしたちはおかしいのだろうか。」


「生きている限り、ぼくたちは過去の亡霊から解き放たれることはない。それはもうあきらめた。」


強く印象に残った言葉たちです。



***
スーダンで内戦が始まってしまいました。なぜこんなにも争うのだろう。犠牲になるのは何の責めるべき事由もない市民たち。
息子の友人のご両親はスーダンの日本大使館に勤務されていたはず。とても心配です。